樹から生まれた双極性障害2型

主に詩や小説を書いています。

詩・「公園の中の三人」

老いはあなたを苛めてるようにみえて

実は 僕 俺 あたし 私を成長させようとしている

それでも 割り切れない朝 眠れない夜が

ある 

続く

 

外に出て木の枝を見上げる

くねくねと曲がっている

枝だって まっすぐに行かず 行けず

くねくねと育つ

伸びる枝が向いてるのは空

青い空の時もあれば 灰色の吹雪の空の時もある

枝も空も安定していない

なのに 人は人生に安定を求めている

 

公園のベンチで一人の男がじっと手を見ている

自分で自分の手相を見ているのかと思った

彼は急にやってきた指のシワに驚き

シワにこだわり シワに囚われている

彼はシワの周りをぐるぐると回っている

パソコンのマウスポインターのぐるぐるみたいに

 

近くに座っている老婆が彼に語りかける

素敵な帽子ですね

彼は照れていた 彼の心はシワから帽子へと移る

彼は久しぶりに人と話した 顔にいいシワがよる

老婆は一つもいい事をしたと自覚していない

いい笑顔で笑っているだけ

すれ違う風に答えがある と

離れたベンチで歌っている人がいる

 

詩・「オネスティ」

lost

日本人なのに どうして英語使ってんだ?

歳をとると どんどん体から陽を浴びた何かが抜けていく

空を見ても虚しい

こう書いて 空虚 でも これが一体なんだって言うんだ?

やばい時が俺に歩み寄ってくる

以前は拒否していたが 今は どうしてか 待っているというか

一人遊びが好きだった子供の「時」

浮かれちまった俺なんかが出来上がっちまったもんだから

その「時」をぶっ壊しちまった

この世は その辺の人が寄ってたかって作ったもんだから

いい加減なもんなんでしょ

いい加減なものだと知った以上 俺は やはり誠実を目指すしかない

この世の暴力の言葉を ボォッっと燃やしちまおうじゃないか

俺の台所にあるガス台の青白い火で十分だ

それほどの陳腐なもんだと勝手に思ってる

既成概念なんて イメージのワルサーでぶっ放しちまえばいい

人目なんて   イメージのトンカチで叩きこわしちまえばいい

君は 千人の聴衆を選ぶか?

それとも 一人の信者を選ぶか?

今となっては 俺は どっちもどっちだ

歌詞・和訳「ラマ・ハバ」

見えない線の向こうに 逆光にはじく茶髪

その目は求める目と与える目に見える

夕を感じながら目を瞑る

memory

記憶のイメージを降りていく

遠く遠く離れている縁日の 人の列 電球の下の金魚

鼻をかすめる線香花火のにおい

火は上に響かず 火は下へ静かに落ちていく

妻は浴衣の帯締めすぎちゃったと笑う

子はヨーヨーの玉が手に当たらず 妻はまた笑う

笑う声は愛 そう感じるから笑う そう笑うから感じる

ハバ(ありがとう) ハバ ハバ ハバ

詩・「タイトル思いつかなかった」

恋など知らぬ三年間が幸せだった

もちろんタバコも酒もやらぬ歳である

二度大きな攻撃を喰らったが

なに 家へ帰りヘッドフォンをすれば

悲しみは風などに吹かれなくとも

レコードに合わせた 口笛を吹く前へと吹いてゆく

この世において 恋や愛が冷酷であり

冷酷は愛や恋だと分かった時は 漱石が亡くなった歳を過ぎてから

酒も煙草も要らぬものである

では何故にやってるか

簡単なこと

虚構の世界を鵜呑みにしてしまったから

ただ それだけの事である

真に独りになった時

人間を知る事になる

辛いが仕方がない

喜びや愛など 一切の根源は苦である

このような事を書きながら

随分と遠くへ来てしまったと嘆くと

ふと気づいた

くねくねと曲がった円を一周しただけであった

元のところに戻ったのである

であるならば

これからは真っすぐな山路を

真っすぐな心で

とことこ登って行くしかない

 

詩・「俺、愛って知らねえんだよ、清志郎」

物心ついておねしょ時

時計は狂ってた

ところで あんた

時計やスマホがまったく無いところで

今、何時何分ですって答えられるか?

 

物心ついておねしょした時

あらゆるノイズが叩き込まれた

あらゆるったらあらゆるだ

「人は愛し合うのが基本」って

そりゃどうだけど

へんてこなノイズで

愛ってもんが分からない

愛ってもんが知らない俺は一体どうすりゃいいんだ

 

今、君は学校で勉強してんだろ

チャイムが鳴る 歴史の時間だな

あれ、これ、違うんじゃね?

って思った君は早熟であり不幸のドアノブを回し始めた

でも 俺は君みたいなやつが好きだ

 

詩・「グレイト」

神のイタズラの手によっても

決して壊れる事がなく誰も聴いた事がない歌ができたそうだ

歌はSNS上で拡散された

僕は歌う

君は歌う

 

歌に導かれた人が歩く

歌に導かれた人が集まる

歌の群衆が建つ

建っているホワイトハウスは崩れ堕ちた

悪者は今まで聴いた事がない歌に耳を塞ぐ 魂が閉じる

旋律は巨大な木霊の輪になる

木霊の輪は重なりに重なり世界を抱擁する

 

悪者は歌に負け

悪者は愛に負け

AIをもっても負ける

 

歌は貧しき国々にも届き

人々はハラが空いていながらも踊る

歌は餓えを超え

歌は概念を超え

歌は永遠を超え

歌は愛を超え

もはや形容出来ないグレイトなものとなっている

加速するグレイト 拡散するグレイト

見た事も聴いた事もない

やっと人々がグレイトになった

散文詩・「沸点120度」

ふと気づくば右の親指が上がってんだ

緊張 深層心理の緊張で親指が上がるんだ

心が緊張の奥へと向かえば 筋肉に反映されるんだよ

「リラックスする必要なんてない。緊張に慣れればいいんだ」by ピート・タウンゼント って言われてもなぁ 

窓の外の緑の女

俺の突きあがった親指に引っかかる

それは まるで古き良きアメリカ映画のヒッチハイク

部屋ではさ できすぎの様にストーンズの「アンダー・マイ・サム(親指)」が流れてんだ

女はぬけぬけと部屋に入り込んできた

まだ若いのにトーキング・ヘッズの「リメイン・イン・ライト」を小脇に抱えてる

俺は「ステレオはあるけどプレイヤーは持ってねえよ」と言った

女はただ笑ってんだ

しまいにゃ無音の部屋で踊り始めた

俺は無音のソファーに座ってそいつを眺めてる

沈黙を破るヤカンの音

蒸発する白いものに何かが乗っかり 何かが俺たちに見返りを求める

初めて女の口が開いた

「こっちよりあんたのアフリカン・ミュージュックの方が好き」

こっちってのはトーキング・ヘッズ

俺はあえて黙っていた

使う文章間違えてるか?

まだ気にしてんだ しつこい俺だ

なあ 間違ってるかって

俺は孤独者 蒸発が俺を挑発する

沸点120度のヤカン

沸点120度以降の物理の理論

俺はそいつが知りたいんだよ

ついでに1➕1=3以降の理論も知りたいんだよ

ある 必ずあるんだ そういう狂った理論が

そいつは もしかすると 今の世界かもしれねえな